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白馬のブナ林と唐松岳周辺の自然観察----山の自然学シリーズ(9)

NPO法人「山の自然学クラブ」の信州講座

 山の自然学を学ぶようになってから、以前に登ったことのある山をもう一度登ってみると、新しい発見があることにしばしば驚く。 以前は山に登って一体何を見ていたのだろうかと、自分自身を疑いたくなるのである。 今回の唐松岳もそうだ。

 我々のNPO法人「山の自然学クラブ」の信州講座の1つとして、NPO法人「白馬国際自然学校」理事で、山岳環境研究所代表理事の北原正宣先生に解説をお願いして、白馬のブナ林と唐松岳周辺の自然観察会を開催した。

 なお、この行事には、山と渓谷社のカメラマンと記者が同行し、取材した。雑誌「山と渓谷」2006年5月号に掲載される予定である。 (2005年9月)
霧の中に現れた雷鳥



GPSで自動記録した軌跡
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(1日目) 白馬のブナ林

9月23日(金)は、13:30に白馬駅に集合し、迎えのマイクロバスで一路、Hakuba47のゴンドラへ。 そこから白馬のブナ林を見学し、宿まで送って頂いた。 半日の楽しい自然観察会であった。

スキー場で有名な Hakuba47 は、"4seasons-7days"
つまり年中無休というい意味であるという
ゴンドラを降りるとすぐ吊橋があり、これを渡ると白馬のブナ林だ

早速、北原先生のインプリが始まる。ブナの一番下の枝が積雪を示す(ここでは約4m) ユズリハは雪の中に隠れるので
凍結から逃れる
  
いい香りのするクロモジ
 
 

飢饉のときに食べたというリョウブの実
          クマの爪跡と凍裂のあるブナ
「林に入ったら、触れて、嗅いで、味をみて、耳を澄ませて下さい」
といわれて、耳を澄ますと小さな澤音が聞こえた。
ブナ林の1mに1万匹の虫がいるという。植物・動物・菌類の食物連鎖に驚く。

ブナの葉脈の数は7〜11対
イヌブナは10〜14対という
積雪に耐えてできたブナの根曲り 今年は日本海側はブナの当たり年のようだ

「あちらを見て下さい!」といわれて眺めるとブナ林の中に大きな岩がある。岩の上にはクロベが生えている。

クロベ(別名ネズコ)は、ヒノキ科クロベ属で、日本特産種。ブナが生えない蛇紋岩などの岩地にもよく耐えて生育するという。

シラカンバ(白樺)は、枝跡に黒い八の字ができるのが特徴。葉脈は5〜8対  ダケカンバは、葉脈は7〜12対。樹皮が灰褐色または淡褐色で、
シラカンバよりも高地を好む。
ウダイカンバは、樹皮に横縞があるのが特徴
 

白馬のブナ林観察の帰りに、平川に建設された日本一立派な(?)
砂防ダムを見学した。(3枚接続のパノラマ写真)
ダムの傍に山葡萄の木が
あり熟した実を沢山賞味した

天然温泉「みみずくの湯」で汗を流し、夕闇迫る頃、今夜の宿 「白馬ペンション・ミーディア」に到着した。 ペンション・オーナー心尽くしのフランス料理のフルコースと信州産の赤ワインが疲れを癒してくれた。



(2日目) 八方尾根から唐松岳頂上小屋へ

9月24日(土)は、8:30に宿舎を出発し、マイクロバスで八方のゴンドラ・アダムで兎平へ、さらにリフトを乗り継いで八方池山荘へ。 そこから北原先生の解説を聞きながら、宿舎の唐松岳頂上山荘まで登った。

八方尾根のゴンドラ・アダムで兎平へ リフトを乗り継いで、標高1850mの八方池山荘へ

登山道の入口の警告
 
 
北アルプスでは2400mで現れるハイマツが、ここでは1850mの八方池山荘にあるのはなぜだろう
    理由は下の写真をご覧下さい!
ハイマツの実はホシガラスの貴重な餌である
 

この付近の地質は、栄養の乏しい蛇紋岩質であるので、木が育ちにくく、森林限界が低下している。つまりここの標高1850mは、植物にとっては地質のいいところの2400mに相当するから、ハイマツが生えるのである。
地質は場所により異なるので、ハイマツよりも標高の高いところにブナが生えるなど植生が逆転していることもある。
ややガスがかかった中を、第2ケルンを過ぎる
 
 
 
 
  

ミヤマナラ ミツバオウレン クロマメノキ ナナカマド

ウスユキソウの仲間 カライトソウ ハクサンシャジン ハクサンアザミ

八方池も霧の中 池の傍らで野点をする仲間(お抹茶と羊羹が美味しかった)

カール地形(氷河地形)の縁を通る ねじれたブナの大木、ねじれることで丈夫になる?

タカネマツムシソウ
マツムシソウ科、日本固有
ハクサンサイコの紅葉
セリ科、日本固有
ヒョウタンボク
スイカズラ科、実が瓢箪のよう
ミヤマハンノキ
実は4個が普通、7個は珍しい

登山道に雷鳥の毛が落ちていた
 
付近で雷鳥を見つけたが、ここではガスのため撮影できなかった。
この写真は同一日に唐松岳山荘の裏で望遠レンズで撮影したもの

標高2696mの唐松岳頂上山荘に辿り着く


(3日目) 唐松岳頂上へ

9月25日(日)は、早朝に有志でご来光を狙って唐松岳山頂に登ったが、生憎の天候。 しかし岩石を見たり、雲海を見たりして、小屋に戻った。
小屋で全員集合後、北原先生の解説付きで、下山した。

唐松岳頂上山荘からの展望 (左から唐松岳、不帰嶮、天狗ノ頭が見える。白馬三山はガスの中) 3枚接続パノラマ

山頂の左側の石は普通の花崗岩
信州大学の原山智先生によると、唐松岳頂上山荘付近には、大黒岳花崗閃緑岩と有明・奥又白花崗岩とが接触している所があるという。 山頂付近にもそれらしいところががあった。 素人にはよく分からないが--- 山頂の右側の石は心なしか緑っぽいから、花崗閃緑岩だろうか?
  

不帰キレットを越えて富山県側の奥不帰谷から長野県側の南股入へ流れる雲
雲は、目に見えない空気の流れを可視化してくれる。 2600m付近から2枚接続パノラマで撮影

出発前に山荘で記念写真

チングルマの実
バラ科、花もいいが実もいい
ベニバナイチゴ
バラ科、美味しかった
ネバリノギラン
ユリ科、花茎・花弁の外側は粘る
ミヤマホツツジの実
ツツジ科

カメラマンの新井さんも興味深く撮影
「このハイマツの中にある樹高2mほどのオオシラビ
ソの幹は、どのくらいだと思いますか」 と北原先生か
らの質問
 
ハイマツの中に入って調べるてみると、幹径はなんと約50cmもある。ここは風が強く積雪が2mしかないので、それ以上の高さにオオシラビソは成長できない。場所が狭く4枚接続パノラマでやっと撮影できた

ハイマツの実
ホシガラスが食べ残した
ミヤマネズ
ヒノキ科、常緑低木、これでも成木
ヘビノボラズ
メギ科、棘があって蛇も登れない
クモマミミナグサ
ナデショコ科、砂礫地に生える

登山道の脇にある泥炭層(水中で藻が炭化したもの)  炭素14法と花粉から測定された年代は3000年という

見事なミネカエデの紅葉

今回の山行は、白馬のブナ林と唐松岳周辺の自然観察ということで、NPO法人白馬国際自然学校理事の北原先生に自然解説をして頂いた。 スキーや登山で訪れたことのある八方尾根であるが、このような自然観察をしたのは私にとって初めてで、多くの発見があり、楽しかった。

今回は、山と渓谷社からカメラマンと記者が同行取材した。
雑誌「山と渓谷」の2006年5月号に掲載されるとのことで、見るのが楽しみである。


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